そして、クリント・イーストウッド監督の最新作。(2018年現在)
その2点が、この映画を見に行こうと思った動機でした。
特筆すべきは、この映画が実話を元にした映画というだけでなく、主人公として登場する3人が実際に事件に遭遇し、多くの人々を救ったヒーローその人達自身であるという点です。
本人が演じる、そんなリアリティが映画を見ると明確に伝わってきます。
俳優では成しえなかったリアリティ。
演技を超えた演技。そんな迫力が見る人の心を最後の最後まで惹きつけて離しません。
クリント・イーストウッド監督の大英断に心から拍手を送りたいと思います。
15時17分、パリ行き |
2015年にアムステルダムからパリに向かう高速鉄道タリスの列車内で実際に起こったテロ未遂事件。
※数名の負傷者は出ましたが、犯人が企んだ大量虐殺は3人のアメリカ人ヒーロー達によって阻止されました。
犯人は何百発もの弾丸を携え、銃とナイフを持ち、列車に乗り込んできます。
犯人に乗客の一人が撃たれ、乗客たちは逃げまどいます。
その犯人に自らの命も惜しまず突進したスペンサー。彼が3人の中でも一番のヒーローであり、この映画の中心人物でもあります。
実際に映画の中で、この列車内の事件のシーンは少なく、ほとんどの時間が3人の過去を追うことで費やされます。
中学時代、3人はいわゆる落ちこぼれでした。
注意欠陥多動性障害ではないかと学校から言われ、学校を追われ、3人はバラバラになってしまいますが、その後も彼らは連絡を取り合い、仲良しの親友であり続けたのです。
子どものころからサバイバルゲームが大好きだった3人ですが、アレクはオレゴン州兵になり、スペンサーも軍隊に志願します。
スペンサーは戦争に行って人を助けたいという気持ちが強く、軍隊の中でも花形であるパラレスキュー隊に入りたいと熱望しますが、奥行視覚テストにパスできず、パラレスキュー隊には入隊はかないませんでした。
他の軍に配属されたスペンサーでしたが、寝坊をし、裁縫もうまくできず、その軍をクビになり、「身を守る」だけの部隊に配属されます。
そこでスペンサーは柔術を習い、相手を羽交い絞めにして動きを封じることなどを学びます。
この柔術が列車の中での犯人の格闘時に発揮されることになるのです。
3人は休暇を使ってヨーロッパを旅行することになります。
イタリア、ドイツ、アムステルダムを経て、パリへ。
そのパリ行きの列車内で事件に巻き込まれることになるのでした。
列車内で3人はWi-Fiが使え、飲み物のサービスがある1等車に席を移動しています。
この席の移動も重要なファクターとなります。
彼らが席を移動していなかったら?考えただけでもぞっとします。
3人は決してできの良い子どもではなかったし、3人の親たちも辛い思いを何度もしてきました。
それが、最後のフランスでの勲章授与式とアメリカでのパレードでやっと報われるところが爽快です。
誇らしそうに息子を見つめる母親たち。
息子を信じて育ててきた母親たちもまた、その時に大きな勲章を得たのではないでしょうか。
この映画は実話であり、ドキュメンタリーに近いように感じるかもしれませんが、実際に映画を見終わって思うことは、これは完全なクリント・イーストウッド監督の映画作品であるということです。
3人が当事者であり、素人であることをすっかり忘れて、普通に俳優が演じている映画を見ているような自然さがあることに驚きを隠せません。
クリント・イーストウッド監督の意図は完全に成功していると感じました。
多くの人に見てもらいたい映画の1つになることは間違いないと思います。
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