泣けます。
★韓国映画「七番房の奇跡」★
フィクションですが、1972年に春川市で派出所所長の9歳の娘が性的暴行を加えられて殺害された事件がモチーフになっている映画です。
この物語は、主人公イェスンが大人になって、模擬裁判で父親の弁護をするところから始まります。
そして、お話は過去に遡り、6歳のイェスンと、その父親である知的障碍者イ・ヨングの二人が、黄色いセーラームーンのランドセルを店のガラス越しに見つめている場面に飛ぶのです。
イェスンの父は知的年齢が子どものままで、ハッピーマートの駐車場の整理員をして生計をたてていますが、その収入は低く、イェスンにランドセルを買ってあげたくても買ってあげられないため、いつも二人でガラス越しにセーラームーンのランドセルを眺めていたのです。
そのランドセルも残り一個となってしまいました。でも、いよいよ明日の給料でようやくイェスンにそのランドセルを買ってあげられる。
イェスンもヨングも明日をとても楽しみにしていました。
ところが、その残り一つだけだったランドセルが、目の前で誰かに買われてしまいます。
ヨングは慌てて店の中へ。
「それはイェスンのです」そう言って訴えますが、ランドセルを購入した家族はヨングの様子が普通でないことに怪訝な顔。そして、娘の顔を突然触ったヨングに激高した父親が、ヨングを殴り倒します。
その父親は警察の長官だったのです。
翌日、ハッピーマートでお給料をもらい喜んでお札を数えているヨングのところへ、昨日ランドセルを買った女の子がやってきます。
「おじちゃん、セーラームーンのランドセル他の店でも売っているよ」
そう言われて、ヨングは女の子の後をついていきます。
二人は市場の中へ。昼の市場は人通りがほとんどありません。
市場を通りかかった一人のおばさんが、倒れた女の子と、その傍らにいるヨングの姿を見つけ、悲鳴を上げます。女の子は頭から血を流し、死亡していたのです。
知的障碍者のヨングはそのまま警察に捕まり、女の子殺害の犯人として裁判にかけられ死刑の判決を受けてしまいます。
殺された女の子は警察庁長官の娘。とにかく早く犯人を逮捕しなくてはならなかった警察はろくに捜査もせず、調書も偽造してヨングを犯人に仕立て上げてしまったのです。
捕らえられたヨングは事情を把握していないので、自分が犯人にされ、死刑判決を受け、刑務所に入れられてしまったことを理解していません。
母親はいないので、たった一人で父親の帰りを待っている娘イェスンが心配でたまらず、電話をかけさせてくれと訴えますが、聞き入れられるはずもなく。
イェスンも事情がわからず、なぜ父親が帰ってこないのかもわからないまま家で待っていましたが、その後保護され、児童施設に入れられてしまいます。
イェスン役の子役がとてもかわいく、お利口で、しっかりしていて、父のヨングと対照的に知的で、物語を微笑ましいものにしています。
そして、物語は7番房の中の囚人たち、刑務所の課長を巻き込んで、笑いあり、涙あり、そして大号泣の結末へと話は進んでいくのです。
囚人たちが徐々にヨングを受け入れ、ヨングとイェスンのおかげで変わっていきます。
面倒をみてやった囚人に自分の子どもを殺されてしまった刑務所の課長は、初めヨングを憎んでいましたが、火事の中から自分を命がけで助け出してくれたヨングを見て、ヨングは実は無実なのではないかと疑い、調べ始め、そして確信します。ヨングは無実だと。
最後の裁判が開かれる前に、囚人たちは懸命に事件の真相をヨングから聞き出し、女の子は凍った地面で滑って転び頭を打ったこと、ヨングは女の子に心臓マッサージをしていて、胸を触ったりキスしたりしていたのだということに気付きます。
ヨングを死刑にしてはいけない。ヨングは無罪だ。
囚人たちは裁判での受け答えの台本を作り、ヨングに覚えさせます。裁判できちんと事実を説明できれば、ヨングが無罪だということは誰の目から見ても明らかになるはず。
更に、嘆願書を集め、刑務所の課長に託します。
お金のないヨングは弁護士を雇うことができないため、国選弁護士が刑務所にやってきます。しかし、この国選弁護士、はなからヨングを弁護する気がありません。
なにせ相手は警察庁長官、闘う気が無いのです。
せっかく集まった嘆願書も、国選弁護士は意味が無いと言って受け取ってもくれません。
あとは裁判でヨングがちゃんと説明できれば。そうすれば死刑は回避できる。
みんなそう信じていました。あんなに練習したんだから、大丈夫。きっと無罪になる。
しかし、裁判当日、ヨングを待ち受けていた警察庁長官はヨングを何度も殴りつけ、罪を認めなければ、お前の娘を同じ目に合わせると言い、おびえたヨングはとうとう裁判で罪を認めてしまうのです。
判決は死刑。確定。
もう、誰にもどうすることもできません。
この物語の最大の泣き所は、ヨングとイェスンの最後の別れのシーンでしょう。
死刑台に向かうヨングの囚人服の背中には、囚人たちの寄せ書き。「天使」「愛してるよ」そう書かれたヨングの背中が物悲しい。
柵越しに、最後とは知らずに別れを惜しむイェスン。
イェスンとヨングの最後の別れは本当に辛く、悲しく、涙なしでは見られません。
この映画3回連続で見て、3回とも泣いてしまいました。
韓国映画というジャンルはあまりなじみのない方もいるかと思いますが、国を超えて誰もが感動できる映画だと思います。
ぜひ見てほしい映画の一つです。
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