★イタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」★
これは父の愛の物語です。
1997年にロベルト・ベニーニ監督、脚本、主演で制作されました。
第二次世界大戦下のユダヤ人迫害(ホロコースト)の中で明るく生き、家族を愛し、守り切ったユダヤ系イタリア人を描いています。
第二次世界大戦下のユダヤ人迫害(ホロコースト)の中で明るく生き、家族を愛し、守り切ったユダヤ系イタリア人を描いています。
主人公のグイドは陽気で、お調子者。
いい加減な感じが満載だし、見た目も細くて貧弱だし、最初は全く感情移入できませんでした。
そのグイドが美しい小学校教師のドーラに一目惚れし、様々な方法で気を引こうとします。
このドーラに対する行為は本当にハチャメチャで、くだらないので、この段階ではなぜこの映画が名作なのか、全く理解できず、途中で見るのをやめようかと思ったくらいです。
グイドはようやくドーラを射止め、二人は結婚し、ジョズエという一人息子を授かります。
グイドはユダヤ系だったため、親子三人は囚われ、強制収容所に送られてしまうのですが、この頃から、この映画の本当の意味が少しずつ少しずつ沁みてきます。
グイドが度々いい加減なことを言ったり、嘘をついたりするのは、相手を傷つけないための優しさだということがわかってきて、グイドの陽気さと優しい嘘が、息子のジョズエに、今が戦時下で、それも強制収容所にいるのだという感覚すら悟らせないような、父親の偉大な愛だということが胸にずしんと響いてくるのです。
「これはゲームなんだよ」グイドはジョズエに言います。
「泣いたり、ママに会いたがったりしたら減点。いい子にしていれば点数がもらえて、1000点たまったら勝ち。勝ったら、本物の戦車に乗っておうちに帰れるんだ」
強制収容所では男女が別々になるため、グイドとジョズエは一緒ですが、母のドーラには会えないのです。そこでグイドがこの言葉を息子に言うのですが、ジョズエは素直に信じて、大好きな戦車に乗るために、強制収容所の生活をゲームだと思い、変に恐れたりせず、少し楽しんだりもしながら、普通に送ることができたのでした。
やがて終戦になり、ナチスが撤退していきます。
グイドはジョズエをゴミ箱に隠し、自分はドーラを探して歩き回ります。
ところが、運悪くナチスに見つかってしまい、グイドは捕まってしまうのです。
ゴミ箱の中から父親がナチスに連れていかれる姿をジョズエは見ています。それを知っているグイドはおどけてふざけながら、手足をまっすぐに伸ばして歩き、ジョズエを笑わせようとします。
グイドは物陰に連れていかれ銃殺されてしまうのですが、ジョズエはそれを知りません。
誰もいなくなったのでジョズエはゴミ箱から出てきますが、そこに戦車がやってくるのです。
連合軍の戦車でした。
ジョズエは戦車に乗せられ、ヘルメットをかぶせてもらいます。そして戦車の上から母のドーラを見つけるのです。
「僕たちはゲームに勝ったよ」そう言ってジョズエは母に喜びいっぱいの笑顔を向けます。
グイドの偉大な愛の嘘は息子の命と心を最後までこんなにも優しく守り続けました。
戦争やホロコーストという残酷な現実の中で、大きな愛のドームで息子を守った父親の姿に涙しない人はいないでしょう。
やせぎすで、かっこよくもなくて、いい加減で、陽気なだけの男に見えたグイドが、最高の粋な男性に見えてくる。
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